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鑑定の要領

鑑定の要領と質の違い(段位別の鑑定)

占技に入る時は、
①部分的な運命解読に入るか?
②総体的から入るか?

算命学では一般的に総体的に入る方が良いとされます。
そして、一番最初に答を出す時は、命式の特色を見つけ出すことです。

これは、数秒で人生全般の流れを察知することが出来なくてはなりません。
また、守護神は、ほんの一瞬で判定なければなりません。
これができるまで、数多くの鑑定経験と鍛錬が必要になります。

宿命の特色は、絶対に見落とさないことです。これを見落としますと、その人の基本線がとれなくなります。

  1. 六十干支の意味を頭に描きながら星を丹念に見る事
  2. 大運を算出して、特別な約束事はないか
  3. 守護神は何か
  4. 命式の特色は何か・・・・・・最低でも10~15位は掴めるようになって下さい

(※ここでは、割愛いたします。)

では、一つ例題を使って、簡単な鑑定をしてみましょう。

この人の特徴はどうでしょうか?
一言でいって、冷たい人といえます。
※冷たい人は自分中心に物事を考えます。
暖かい人は周囲を気にしますし、こうすると他人はどう思うだろう。等を考えます。

この人の本質は、愛情豊かで、風流で遊び人的な要素があります。
仕事の世界では、和合性・協調性を持ちますが頑固です。
特権意識のある仲間・組織づくりをする人で、ドライに特別な集団を作って行こうとします。
目上に対しては、孤独で反発し、従うことは出来ません。
ある面では甘え的な面が出てきます。
目下に対しても慕われる要素がありますが、反発しますので、上下関係はほとんど存在しなくなります。
家庭をもっても面倒くさがりになりますが、友人とは和合を保ちます。

20代後半から陽転しますので、頭角を現します。
注:この人を抑えるものがない限りは陽転します。
40代後半には、陰転するため、一旦下がります。しかし、晩年にいたっては、人間的に良さが出てきます。

性格は感受性が強くロマンチストな一面(神経質で極端から極端の一面)がありながら頑固である。何となく人に頼られないものを持っています。行動が早く頭の回転が早い人で、直観力で考えていく人といえます。周囲の人からは、頭の良い人に見えます。

以上、簡単な鑑定です。
皆さんは、どれをどのように見たのか、お分かりでしょうか?

自分はこの鑑定よりもっと上だ。と思われる方もいらっしゃるかと思います。
その反対に、どれを見たのか分からないようでしたら、まだまだお勉強が足りないかもしれませんね。

実のところ、この鑑定レベルは、臨位初段の人の占いになります。
そしてこの鑑定は、高尾宗家の言葉をお借りしますと「占芸」レベルの鑑定という評価になります。

それでは、もう少しレベルを上げた見方をしてみましょう。

歳位二段の鑑定

臨位までの様な細かいことは言いません。
その人の内面に深く入っていきます。 そして、臨位の占いが土台となります。
すなわち、思考性 物の捉え方です。

この人は物事を非常に冷たく、クール、自分のエネルギーが有り余っているために、その思考力がどんどん表に放出されていきます。冷たいものが出ていきますから、変人奇人という様に見られます。
内面に暖かいものがありながら、奇人変人に見られるのは、金生水、金生水、金生水と洩気過多であるためです。
洩気過多の人は、自分の言いたいことを勝手に言います。いわゆる、放言癖があるように見られます。
そして、奇人変人の本質は、この人の生まれ育ちに大きな原因があります。

母の「己」がないので、「戊」をとります。そうすると、父は「癸」となり二人透干します。
このような命は、両親の人生は波乱であったり、順当で平穏なものではなかったのです。
母が一人で、父が二人出る。このようなものを「婚因の運命」といって、正確には両親を見ないといけませんが、婚因関係が入り交じっているものです。外子に多いのです。

一応男系家族でありますが、母の影響力が非常に強くなります。
そのため、物凄い強さと物凄い甘えと同居するような精神構造を作ることになり、その精神構造が大運の第二・第三旬では、石門・貫索で、益々自我が強くなり、そういったマイナス面の性格が強く現われる青少年期であった。言い換えると手の付けようがない掴みどころのないような人であった。

以上のような見方になります。
少し技術的な説明を加えながら、解説をさせていただきましたが、歳位のレベルは如何のものでしょう。

それでは、さらに鑑定の質を上げた見方をやってみましょう。

周位三段の鑑定

周位の占いになると、歳位の占いに更にこの人の人格に入っていきます。
臨位と歳位の占いを積み重ね、その上に周位の占いをとなりますと、この人は、社会に対して大変な貢献をするか、或いは大変に反社会性を持つかどちらかに片寄ります。というような答えが出てきます。
守護神はどこにもありません。このように守護神の全くない人というのは、ある時代において守護神の回ってきた時は、非常に社会に対して貢献度が出ます。しかし、守護神の無い人というのは、逆に社会を破壊する側に回ることになります。
ですので、このような人は、社会に対して貢献するか反逆するか両面を持っているということになり、 裏を返せば、人の運勢を持ち上げる時もあれば、人の運勢を喰うこともあり、この両面を持ち合わせている人物である。従って、このような人に近づくと運勢を喰われることもあれば、逆に助けられる時もあるのです。

以上のような見方が加わることになります。

さらに、咸位・東位の鑑定となりますと、六親の流れなどを見ていくことになります。
冷たい星の子が生まれるということは、両親や祖父母はどうだったか。
等々を付け加えていきます。
この人の命式からいうと、冷たいわけですから、四季でいうと冬であります。
そうすると、この人の親は秋になるのです。祖母祖父は夏になり、その前は春である。
冷たい子が生まれることは、親はドライで祖父母は非常に情的(夏)な人がいたのです。

この見方は、技術はなく自然の摂理だけで見ているのです。
親に対しても薄情、子供に対しても薄情で、家庭的な運勢ではありませんね。
ということになります。

さらに、孔位の鑑定になりますと、さらに違った着眼点になります。
星を使わないで見ることもありますので、さらに多くの修練が必要になります。
このレベルになりますと、「なんとか格」だ、「二行干支」だから・・・、「守護神だの才能」だのということは何もありません。
本当に人を見る時は、星に頼ることは致しません。

この人の本質は、暗いところから出発して、早くから輝きのある能力を発揮致します。
その様な人物であって、人生の出発点は大変寒い。あまり運勢は良くないところから出発しますが、年と共に暖かい方向に進んでいきます。
更に、人の力を借りることが出来ず、自分の努力と力と才覚によって自分が世の中に押し出ていく運命の元に生まれています。
ロウソクの最後のようにパァーと燃え上って消える運命のもとに生まれてきており、役目を果たすことで社会に大きく貢献し、そして、この家系は途切れてしまいます。
自分一代で運勢を使いますので、この人に子供が出来たとしても、その子供は運勢を掴むことが出来ないでしょう。一代勝手気ままに才覚を発揮していってください。

というような鑑定になってくるのです。

周位(三段)から孔位(六段)までの鑑定はいかがでしょうか?

配偶者の星「甲」がありますから結婚すると配偶者に助けられますよ。という鑑定もよろしいのですが、
その先に待ち受けている人生では、配偶者を犠牲にする人生が考えられるのです。

臨位の段階の鑑定と比較すると名人芸と大道芸の違いが出てきます。
このように、鑑定の次元が異なりますので、上位鑑定者になればなるほど、人が苦境に落ちた時はどうしたら切り抜けられるだろうか。そして、その裏側にあるものは捨身(現実)、不捨心(ふしゃしん)といって、苦境に落ちた時は身を捨て自分の心だけは不動である。と生き方の中に運命を見事に立て直す事ができるのです。

これくらいの域に達するまで、さて、どれくらいの年月のお勉強と鑑定経験が必要になってくるのでしょう。
一年や二年では難しいということは、容易にお判りになれるだろうと思われます。
これを読まれた算命学士の皆様、どうか大道芸に満足されることなく、占道を追求していかれることを切に願います。
そうでないと、実際に鑑定を受けられる方々の人生を大きく変えてしまうことになるのです。
結びとして、高尾先生のお言葉を掲載させていただきます。

(高尾義政先生談)
算命学は一人ひとりに対して、丹念に説いていかなくてはならない占いの学問であります。
算命学を学ぶにも算命学で説くにしても、途方もない時間と労力がかかるものです。決して急がれることなく、焦ることなく、そして、知識をじっくりと深めるように学習して行って欲しいと思います。